本場大島紬について

大島紬の起源は1800年以前にさかのぼり、 わが国において最も長い歴史と伝統をもつ織物です。
一説によると奄美大島では、13世紀頃から天智天皇(661年)の時代から伝わる古代植物染色の技法が行われていたと言われています。
大島紬の工程は、大きく分けて30数工程あり、図案に始まり織り上がるまで半年近くかかり、1つ1つの工程が、非常に複雑で高度な熟練した技術が要求されます。長い歴史のなかで幾人もの職人達が商品や技術開発に邁進してきました。特に、明治40年頃にそれまでの手くくり絣技法から、締機による織締絣の方法を採用するにようになり、世界に類をみない本場大島紬独特の精緻な絣模様ができるようになりました。
現在、大島紬は伝統的な泥大島や、泥藍大島といったものから、ニューカラー・ニューデザインの色大島や白大島と、今では、色・柄・風合いなど豊かなバリエーションをもっています。 このため、着用範囲も広がりおしゃれ着としての気軽な外出着としてだけでなく、お茶会や、成人式・結婚式にと色々な場面 で着られるようになりました。 そして、今また、洋装・インテリア・小物としての大島紬の製品化も進み、世界的デザイナー森英恵さんがパリコレで大島紬レディーススーツを発表されるなど、洋装分野での大島紬も脚光をあびてきています。

大島紬の色はどのような種類があるの?

独特の染色技法により織りだされた大島紬を染色別にみてみましょう

泥大島タンニン酸を含むシャリンバイの幹を削り、煎じた液と鉄分のある田んぼの泥水を用いて染色し、泥染めの地糸と地糸に絣(かすり)を織り出した絣糸を、交互に織り込んだもの。
藍大島植物藍を発酵させてつくった藍液を用いた染色法で、藍染めの地糸と藍色の地糸に絣を織り出した絣糸を、交互に織り込んだもの。
泥藍大島植物藍で先染めした絹糸に泥染めを混用して染色し、泥染めの地糸と藍色の地糸に絣を織り出した絣糸を、交互に織り込んだもの。
色大島化学染料のみを用いて染色され、色染めの地糸に色絣を織り出したもの。
伝統の染色技法の知恵に、発想を転換して現代風にアレンジして開発された。
白大島白の地糸に色染めの絣糸を織り出したもの。または、化学染料で先染めした絹糸を織り締め、脱色してつくった絣糸を白または色染めの地糸に織り出したもの。

色を混色せず、そのまま配色すると、みた目にもキツイ、派手な印象がでます。が、大島紬特有の泥染めには、色のキツイものも 泥田につかれば、落ち着きのある質感と全体の統一感がでてくるのです。

大島紬ができるまでの作業工程